アンパンマンのジレンマ
世の中にはよく考えると矛盾に矛盾が重なるジレンマを
抱えたものがたくさんあります。これは私が常々勝手
に思っている事で、もはや皆さんにも是非を問いたい。
私はこの主張を、アンパンマンのジレンマと名付けます。
▼アンパンマンのジレンマ
1.はじめに
皆さんでアンパンマンを初見・初耳という方はまずいな
いでしょう。要は、冒頭のビジュアルで顔がアンパンの
対バイ菌人型決戦兵器だと思ってもらったらいいんです
けど、彼は水に濡れると「顔が濡れて力が出ない〜」と
言ってはその都度新しい顔(アンパン)に変換して戦闘に
戻るいう性質を持っています。「顔が濡れて力が出ない
」わけで身体はそのままですから、以前から"ではアン
パンマンの身体は何なのか"と囁かれてはいるんですが
私が言いたいのはそこではなくそもそもアンパンマンと
いう存在自体が概念的に成り立つのかということです。
2.本体はどっちなのか
アンパンマンは前述の通り、身体はそのままに新しい顔
に切り替えることができます。つまり、"顔"と"身体"の
2要素で構成されていて、そのどちらかが本体であると
考えられます。
①"顔"が本体とした場合
顔が本体であるとするならば、新しい顔に交換された際
に古い顔はどっか飛んで行くので、それ即ち本体が破棄
されたことになります。そうなるとアンパンマンはその
度死んでいて最終的にバイ菌をパンチするのは別の存在
であることになってしまいます。本体が毎回どっか飛ば
されるという、この上なく雑な扱いを受けることになる
んですけど、それにしては記憶などは交換する前のもの
がそのまま引き継がれていますし、周りのキャラクター
も皆飛んで行った顔の方ではなく、顔が交換された身体
の方を"アンパンマン"として認識しています。
ここで皆さんは、「テセウスの船」というものをご存知
でしょうか。簡単にご紹介します。昔々テセウスという
船長が率いる船がとある島に出航しました、非常に厳し
い海を乗り越え、船は往復して島から帰ってきました。
しかし、その厳しい海路で船長のテセウスは死亡し船員
もほとんどが入れ替わりました。また、船も激しく損傷
し修理を繰り返すうちに、帰る頃には出航時の部品は何
一つ残らず全て別の物に変わってしまっていました。
帰って来たその船に対してある人が言います。「あれは
本当にテセウスの船なのか?」と。
アンパンマンの本体が顔であるとした場合、全く同じ事
が言えます。新しく顔(=本体)を変えた時点で、そいつは
本当にアンパンマンなのか?と。
②"身体"が本体とした場合
では、身体の方を本体と考えた場合はどうでしょう。
付属の部分である顔を新しく変えたからと言って、本体
は変わっていないことになりますから、記憶などが変わ
と認識する、という点でも辻褄が合うように思います。
しかし、冒頭でも述べた通り、アンパンマンはアンパン
である顔が濡れて力が出ないという通り、身体は何なの
かはともかく少なくともアンパンではありません。
つまり、アンパンマンはアンパンではないということに
なります。そうなると、彼はそもそも"アンパンマン"と
言えるでしょうか?身体が何なのかを疑問視する意見は
たくさんありますが、「少なくともアンパンではない」
ということはその諸説で唯一共通しています。
がいます。彼は蜘蛛の糸を出したり、蜘蛛のように壁を
這ったりといった"蜘蛛"というアイデンティティを本体
に持っているからこそ"スパイダーマン"と呼ばれます。
"少なくとも蜘蛛ではない"マンだったならば、まず絶対
スパイダーマンという名前にだけはならないはずです。
3.アンパンマンは存在できない
ここまでをまとめると、2つにしか分けられない"顔"と
"身体"、どちらを本体としても"アンパンマン"である
ことには矛盾が生じてしまいます。この状態を"悪魔の
証明"と言いますが、要は説明がつかないということが
証明されてしまうわけです。身体が何なんだなんて私は
どうでもいい。「こいつ自体が何なんだ!?」という
哲学的存在だと思うんです、アンパンマンってヤツは。
4.アンパンマンであるために
ただ1つ言える事は、アンパンマンの身体+アンパンが
揃うことが"アンパンマン"である要素なのは間違いない
でしょう。例えば、カレーパンマンの身体にアンパンを
付けても、アンパンマンの身体にカレーパンを付けても
そいつはアンパンマンとしては認識されないように思い
ます。しかし、これはあくまで存在するための1要素で
あって根本的な概念は全く解決されません。具体的な例
を挙げれば、全く違う形・顔のアンパンを付けたらそれ
はアンパンマンか?という問いには答えられません。
たキャラクターで、私は幼少の頃より相当な密度で接し
ながらも違和感を覚えたのは高校生の頃なんですけど、
「アンパンマンのジレンマ」などとわけのわからないこ
とを言ってる人間はさすがに当時も他に見たこと無い。
ここまででお解りの通り、どう考えても頭を新しいもの
に交換すべきは私の方なんですけど、ついでにそんな私
がオススメする哲学本を紹介した記事を載せますので、
ご興味ある方はこちらもご一読頂けますとこれ幸い。
これを読んだ後に物事を考えるあなたはきっと読む前と
同じとは言えない。今あなたは哲学という海に漕ぎ出す
テセウスの船なのかもしれません。イラッシャイマセ。
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